微分・積分・いい気分

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はじめに

画像:東北新幹線の食堂車内の速度計。「ただいまの速度220km/h」と書かれている。

東北新幹線の食堂車にある速度計を、5秒おきにメモったデータです。この速度データをもとに東京~仙台間の距離を求めると325.56kmとなり、JRが公表している営業キロ程325.4kmにかなり近い数値(誤差0.05%)となります。

教師・講師であれば自由に生徒へ配布することができますので、微積分の教材としてお使いください。導入部で使用すれば、これから学ぶ微積分がどういう学問なのかを理解できることでしょう。この実測データは、某高校の授業で実際に使用されたことがあるそうです。

私は、微積分を覚える意義を理解しないまま、授業が終了してしまいました。おかげで学習する意欲が湧かず、散々な成績となってしまいました。そこで、ただデータやグラフを用意しただけではなく、グラフから読み取れることや新型車両のアプローチ、所要時間短縮への課題なども載せてみました。微積分への興味を深めることが出来るかもしれません。


教材のダウンロード

shinkansen.xls (Microsoft Excel形式 478,208バイト)

印刷するだけで配布資料になります
画像:配布用資料のサムネイル
配布用にレイアウトした実測データもあります
画像:実測データの配布用レイアウトのサムネイル

東京から各駅までの距離

  算出値 JR公表値誤差
東京 ~ 上野 3.85km 3.6km+7.02%
東京 ~ 大宮 31.34km 31.3km+0.13%
東京 ~ 郡山214.14km 213.9km+0.11%
東京 ~ 仙台325.56km 325.4km+0.05%

東京からの距離が遠くなるほど、誤差が小さくなっています。これは、サンプリング数が多いほど正しい値に近づくことを示します。しかし、いくら“限りなく多くのデータ”を取得したとしても、得られるものは“限りなく正しい値に近い値”であって、“完全に正しい値”ではありません。つまり、サンプリング数を多く取るという方法では、“完全に正しい値”を求めることはできないということになります。“完全に正しい値”を求めるためには、微積分を学ぶ必要があります。微積分を使うと、“完全に正しい値”を数式から求めることができるようになります。(ただし、乗客・振動・風・走行抵抗など多数の影響を受ける事象を数式化することは大きな困難を伴いますので、この例のようにサンプリングデータから近似値を推測するやり方も、方法論の1つとしては有効です。)


速度データから算出した加速度と距離のグラフ

画像:加速度のグラフ

運転士はマスコンという装置(車のアクセル・ブレーキに相当)で加減速を調整します。つまり、運転士の操作をあらわすのがこのグラフです。駅進入前はマイナスに、発車後はプラスになることに注目してください。駅間は加速と惰性走行(自然減速)を繰り返しているため、グラフがギザギザになっています。大宮・郡山を発車した後は、最高速まで加速するので、マスコンを加速側に入れている時間が東京・上野に比べて長くなっています。なお、大宮・郡山発車後の加速度が徐々に小さくなっているのは、マスコンを徐々に絞っているのではなく、速度増加に伴い空気抵抗が増したため加速度が減少しているためと思われます。

↑微分
画像:速度のグラフ

速度計に表示される値が、このグラフです。大宮までは速度制限が多いので、最高時速を出すことはできません。20:18頃、停車前ではないのに速度を少し落としていますが、こちらも速度制限がある箇所を通過するためと思われます。東北新幹線は線形が良いためこのような箇所が少ないのですが、東海道新幹線はカーブのため頻繁に加減速を繰り返す必要があります。到達時間を縮めるためには、最高時速や加減速性能を向上させる必要がありますが、現在開発中の新型車量では、「あまり減速しない……高速でカーブを通過するために車体を傾ける」というアプローチがとられてます。

↓積分
画像:距離のグラフ

東京駅からの距離を、速度から算出しました。グラフが水平になっている部分が停車時間です。東京~大宮間はグラフの傾きがゆるやかで、大宮以降は急になります。早く仙台に到達するには東京~大宮間で速度を上げる必要がありますが、実際には線形や騒音対策のため、難しい課題でもあります。