インターフェースについて

本文へ移動
JunSoftトップへ移動

第2話:はい?いいえ?

いきなりですが問題です。編集したファイルを保存せずアプリケーションを閉じようとしたところ、次のメッセージが表示されました。あなたはファイルを保存したいと思いますが、[はい],[いいえ]のどちらを押すべきですか?

画像:メッセージが表示されています。「無題が更新されているため保存します。はいを選択すると、保存されていた文章は新しい文章で上書きわれ失います。保存を中止しますか?はい、いいえ」

もう一度、メッセージの内容をよく読んでください。最後に「保存を中止しますか?」と書かれていますね。正しい答えはどちらですか?間違った人の多くが「ここまで読まねーよ」と思っているでしょう。さらに、「卑怯だよ」とも思っているでしょう。では、なぜ間違えたのでしょうか。

最初に考えられるのが質問方法です。ぱっと見、[はい] を選べば良いか [いいえ] を選べば良いかが分かりません。「○○を中止しますか?」ではなく「○○しますか?」といった形式が、選択肢を選ぶ上で理解しやすいでしょう。このような表現は、会話の上では表現力や説得力が増すこともありますが、ソフトウェアを使っている人はそのような演出は期待しません。簡潔に理解しやすい文章を考えましょう。大部分の人は、期待した動作が[はい]ボタンであると解釈します。多くの人が間違えるように、あえてこのような文章にした私は、確かに卑怯者ですね。

次に考えられるのが、「これまで使っていた(行儀の良い)他のアプリケーションと同じように操作した」からです。ユーザーはこれまでの経験から、アプリケーションを閉じるときに質問された場合[はい]を選択すれば保存されると考えます。これは「経験」というよりも「習慣」と言うほうが妥当でしょう。あなたもファイルをごみ箱に入れるときに質問されたら、何も考えずに[はい]や[Enter]キーを押しますよね。それは、経験上無意識に選択したもので、文章を読んで選択したものではありません。意図的に「アプリケーション閉じたところ……」なんて条件をつけた私は卑怯者です。

3つ目ですが、ユーザーはメッセージを読みません。冒頭の問題で間違った人と同様に……。だらだら文章が表示されたら、ユーザーは文章をまったく読まずに「直感的」な方を選択します。これを読んでいる開発者サン、「ちゃんと書いてるのに素人サンは読まないからなぁ。日本語も読めないのかよ。義務教育で習ったろ!」と思ったことはありませんか?私はあります。でも、ちゃんと読まないのは「素人サン」だからではなく「人間」だからです。誰しも面倒くさいことをしないのです。問題をろくに読まないだろうと思ってわざと長いメッセージにした私は、やっぱり卑怯者です。

開発者は「どういう状況で、このメッセージを表示するか」は考えますが、それだけではなく「どういう動作を選択する人が多いか」や「どういう動作を期待か」も考えるべきです。開発者に求められることは、マニュアルなどで注意力を喚起することではなく、ユーザーを正しくナビゲートすることです。これまでユーザーのオペミス(=オペレーション ミス)」と思っていたことが、インターフェース上の不備でないかを考え直してください。オペミス呼ばわりされたユーザーは、「卑怯だよ」と思った人と同じように考えているのですから。

次回は、インターフェース上の不備で発生した株価暴落を例に挙げ、インターフェースの重要性について考えます。 → 第3話へ