室町砂場
文化が花開いた江戸時代。数多くのそば屋が生まれ、砂場系・更科系・藪系の三大ブランドは「のれん御三家」として今でも名を馳せています。これらの中でも砂場系の歴史が一番長く、系譜をたどると安土桃山時代の天正12年(1584年)創立という説まであるそうです。のれん分けされたお店では虎ノ門砂場・南千住砂場・室町砂場などが有名で、特に室町砂場は今では当たり前となっている天ざる・天もりを初めて考案したことでも知られています。
このような情報を知ってて室町砂場を訪問しているのですから天ざるを注文すべきなのでしょうが、老舗の天ざるって値が張るんですよねー。こういうお店では日本酒を楽しんだ後にそばでシメるってのが粋なのでしょうが、それもままなりません。相席したカップルが天ざるを食べているのを見て「これが格差社会ってやつか?」と思いながら、単なるざるでお茶を濁しました。
一般に“もり”と“ざる”の違いは海苔の有無だけと思われていますが、もともとは蕎麦つゆなどのグレードの違いであり、海苔は間違えないための目印だったそうです。室町砂場では麺を差別化しており、“もり”は二番粉を使用した田舎蕎麦、“ざる”は蕎麦の実の中央部分のみを使った白い麺です。製麺の手間を考えると、店側にとってはかなりの負担となることでしょう。
量が多いだけ・海苔の有無だけ・器が違うだけなどのようなお店が多い中、“もり”と“ざる”の違いにここまでこだわるお店はほとんど残っていません。先ほど私は「単なるざるでお茶を濁した」と書きましたが、失礼な表現でしたね。量の少なさは気になりましたが、もともと間食として食されていた料理ですので、これはこれで伝統なのかもしれません。

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